くらしき不洗観音寺


四季折々の花を楽しむ

寺には四季折々の花が咲く。植えている樹木は針葉樹と広葉樹(もみじ)。針葉樹は荘厳な雰囲気を醸しだし、もみじは初夏には青葉、秋には紅葉と彩を添える。

2月には紅白の梅が咲き、芳しい香りが漂う。4月には駐車場の周りの桜が咲き、山門には枝垂れ桜の見事なものもある。足元には雪柳の白い花が咲き、それは美しい。6月には藤棚に藤の花が咲き、あやめも咲く。沙羅の木もあり、清楚な花を見ることができる。

夏の楽しみは涼やかな緑である。北の上、紫雲殿の向こうには、針葉樹が植えられており、緑の回廊が続いている。晩夏になれば足元の桔梗が咲く。萩や野草も次々と咲き、季節の移り変わりを愛でることができる。本殿横の薬師堂から、貴船神社に向けての通路があるが、この通路も緑の回廊となるよう、改修中である。

庭の楽しみ方

不洗観音寺は山の中腹にあり、全体が全部斜面である。高低差があるため、庭を歩くにつれ、ぱっと風景が切り替わっていく面白さがある。亀田は、なるべく景色を変えていこうと、塀で景観を仕切ってみたり、階段で視線をつなげてみたりと、随所に様々な工夫をしている。

庭を歩いていると、風景の切り替わりとともに、気持ちも切り替わってくるのが分かる。日本庭園には、単なる風景の表現ではなく、神仙思想、仏教思想など、その場所なりの思想やテーマがあり、庭園を歩く者もそのテーマに心寄せるようなところがある。

不洗観音寺には、七福神、わらべ地蔵が祀られている。補陀落の滝があり、中庭には鯉魚石がある(※鯉魚石=鯉の滝のぼり---出世を表す)。 不洗観音寺は観音霊場、女性や子供を守る寺、その思想やテーマを味わうという楽しみ方もできるのである。

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四季を彩る花々

境内までの参道

わらべ地蔵